カラダをととのえる食事

監修 小島 美和子(有限会社クオリティライフサービス代表取締役・管理栄養士)

やせやすい体になるための朝食のとり方

朝食を抜くと肥満のリスクが4倍ほど高くなるなど、時間栄養学の研究により、朝食をいつ食べるか、何を食べるかによって、太りやすさや体調に大きく影響することがわかってきました。とくに朝に体温を上げるものを食べることが大事です。

Point 1 起床後1時間以内にしっかり食べる

起床後早めの時間に食べることで、体内時計がリセットされ体温が上がり、1日を通してエネルギーを消費しやすい体になります。
食べる量が少ないと熱が作られにくいので、量も十分に食べる必要があります。ご飯なら1膳しっかり食べましょう。1膳しっかり食べることが難しい人は、バナナなどの果物を組み合わせるとよいでしょう。

Point 2 ご飯+たんぱく質の組み合わせで

炭水化物を十分な量とりましょう。パンよりご飯のほうが炭水化物を多くとりやすく、素早くエネルギーに変わります。たんぱく質を組み合わせることで、さらにエネルギーを消費しやすくなります。ご飯に添える卵や納豆、豆腐、ツナなどを普段から準備しておくのがおすすめです。
脂質の多い食事はエネルギー消費量が増えにくいので、パンを食べる場合は、菓子パンなどは控え、食パンやベーグルなど脂質の少ないものを選びましょう。

午後のパフォーマンスがアップする昼食のとり方

昼食のとり方は、午後のパフォーマンスに大きく影響します。内容と量を見直すことで、午後の眠気や集中力の低下、だるさ、イライラなどに変化が起こります。午後のコンディションが気になる人は、以下のポイントをぜひ実践してみてください。

Point 1 単品ではなく定食スタイルで

昼間はもっとも代謝が高い時間帯で、とった栄養素が全身に巡り、効率的にからだの材料やエネルギーに変わるため、午後のパフォーマンスアップにつながります。
昼食には主食、主菜、副菜の揃った食品数の多い定食スタイルがおすすめ。麺類や丼物などの単品料理は食品数が少ないだけでなく、血糖値も上昇しやすいので、午後の眠気やだるさなどパフォーマンス低下につながります。単品しか選べない場合は、五目そばや中華丼など具にたんぱく質食品と野菜が入っているものを選びましょう。

Point 2 量を減らさずしっかり食べる

ダイエット中でも昼食はしっかり食べましょう。昼間は体内の脂肪量を調整する時計遺伝子のビーマルワンの発現量が少なく、脂肪を燃焼しやすい時間帯です。昼間は代謝もよい時間帯なので、量を減らすと夕方には空腹になり、イライラや疲れなど、パフォーマンスの低下を招きます。
エネルギーや栄養素が不足すると甘いものがほしくなります。おやつがやめられない人は、昼食の量と食品数を増やすことで甘いものへの欲求が解消されやすくなります。

翌朝の元気につながる夕食のとり方

夕食のとり方は、翌朝の体調に大きく影響します。とくに「食べる時間が遅い」、「食事量の配分が夜に偏っている」生活が続くと、体内時計がどんどん後ろにずれてしまい、目覚めが悪い、食欲がないなど身体的な不調が出てきます。夕食の時間と配分を見直す以下のポイントを実践して、朝のコンディションの違いを確認してみてください。

Point 1 夕食は 20 時までに済ませる

夕食の時間が遅くなると、体内時計が後退するため、寝つきが悪くなります。すると、睡眠の質が下がり、朝の目覚めも悪くなります。夕食は「寝る3時間前」と寝る時間からの逆算ではなく、「20時まで」と時刻を決めて、早めに済ませましょう。
また、体内時計の働きにより、消化器の働きには日周リズムがあり、夕方頃がピークになります。そのため、そこに近い時間に食べるとしっかり代謝されますが、遅くなると、胃腸に負担がかかり、翌朝の不快感につながります。

Point 2 1 日の食事量が夕食に偏らないように

食事の配分も体内時計に影響します。夕食の配分が多いと体内時計が後退し、翌朝の不調につながります。逆に、朝食の配分が多いと体内時計は前進し、朝のコンディションは上がります。
とくに夕食の時間が遅くなるときは、夜のおかずを朝に1品回すなどして配分を調整しましょう。夕食が遅くなるとわかっているときは夕食を2回に分け、夕方におにぎりやパンなどの穀類を食べておき、遅い時間には低脂肪のおかずと野菜を中心に控えめに食べるのがおすすめです。

前日に食べすぎたときの食事のとり方

食べすぎた翌日の食事のとり方は、1日の体調やその後の体重増加に影響します。
ちょっとした食べすぎは、翌日にリセットすれば、いつもどおりのコンディションに戻すことができるので、ポイントを押さえて早めに戻しましょう。戻し方がわかっていると、食事会なども楽しむことができます。

Point 1 いつもの時間に朝食をとる

翌日の朝、空腹を感じなくても、朝食はいつもの時間にとりましょう。朝食をとることで体内時計がリセットされ、全身の機能がスムーズにスタートするので、代謝が上がり、1日の消費カロリーが増えます。
お腹が空かないからと朝食を抜いてしまうと、体内時計の朝のスイッチが入らず、代謝も上がらないので、カロリーを消費しにくく、前日の食べすぎを長く引きずることになります。
食べる量はいつもより少し控えめにして、昼食前にちょうどお腹が空く量に調整しましょう。

Point 2 こまめに動いて、間食を控える

朝食をとったら、少し体を動かしましょう。ラジオ体操をする、通勤で歩くスピードを上げる、階段を積極的に使うなどがおすすめです。するとさらに代謝が上がり、消費カロリーが増えます。昼食後のウオーキングなど、昼間もこまめに動きましょう。
食べすぎた翌日は間食を控えることも大事です。脂肪は食間に燃焼しやすいのですが、間食をとると脂肪が燃焼されにくくなってしまい、前日に食べすぎた分が脂肪に変わりやすくなります。