
日本で増え続け、若い世代にも増加している高血糖による糖尿病。
特定健診などで「血糖値がやや高め」と診断されても、「まだ糖尿病ではないから」と考えている人も多いのではないでしょうか。
血糖値は高くなっても、自覚症状がないため油断しがちです。

監修
梶山内科クリニック(京都府)院長
梶山靜夫
先生
<高血糖の基準>
血糖値の検査から判定します
特定健診では、おもに空腹時の状態を調べる「空腹時血糖」と、過去1~2カ月の血糖の状態を調べる「ヘモグロビンA1c」の検査が行われます。
●特定健診の保健指導判定値
空腹時血糖 | 100mg/dL以上 126mg/dL未満 |
*やむを得ない場合は、随時血糖を用いる。
ヘモグロビンA1c | 5.6%以上 6.5%未満 |
●受診勧奨判定値
空腹時血糖 | 126mg/dL以上 |
ヘモグロビンA1c | 6.5%以上 |
*空腹時血糖が126mg/dL以上で、ヘモグロビンA1cが6.5%以上の場合は糖尿病である可能性が高くなります。
糖尿病リスク保有者の割合

高血糖が招く糖尿病のメカニズム
通常、食事をして血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が上昇すると、すい臓壁に点在しているランゲルハンス島からインスリンが分泌されます。インスリンの働きでブドウ糖が筋肉や肝臓に取り込まれ、エネルギーとして使われることで、血糖値が低下します。糖尿病になると、インスリンの分泌量や作用が低下し、血糖値が上昇します。高血糖の状態がつづくと、血管が傷ついて血管障害が進み、さまざまな合併症を引き起こします。


・第1ラウンド
健診を受けて自分を知る
まずは、健診を受けて、自分の健康状態を知ることから始めましょう。ご自身だけではなく、家族みんなで受診するようぜひ呼びかけてください。日立健保の健診ガイドを利用すれば、自分に合った健診がすぐにわかります。予約方法などの詳細も確認できますので、まだ健診を受診していない方は、いますぐアクセスしましょう!
※健診ガイドはご家族および任継・特退の方向けです。従業員(一般被保険者)の方は健診費用補助ページをご確認ください。
\健診ガイドはこちら/
\従業員の方はこちらから/
・第2ラウンド
運動で血糖値対策
運動では、有酸素運動とレジスタンス運動(筋トレ)を組み合わせることが大切です。両方行うことで、インスリンの効果が活発になり、血糖コントロールの改善効果がさらに高まります。

レジスタンス運動
●ブドウ糖の約75%が筋肉で消費される
●筋肉量や筋力が増すと基礎代謝が上がり、血糖を消費しやすくなる
1~2日おきに上半身と下半身を鍛える
ここがコツ
10〜15回できるのが負荷の目安


有酸素運動
●血糖をエネルギーとして直接消費する
●継続することで肥満の予防・解消になる
1日20分を目安に有酸素運動をしよう
ここがコツ
今より1日2,000歩多く歩こう!
・第3ラウンド
食事で血糖値対策
血糖値対策の基本となる食事は、食べすぎを防ぎ、バランスよく食べることが大切。
また、まずは野菜から食べ始めるなど、食べる順番を変えるだけでも高血糖対策になります。
血糖値を抑える食事のポイント
ポイント1
自分の1日のエネルギー摂取量の目安を知る
1日のエネルギー摂取量から、食事の量を調整しましょう。
1日のエネルギー摂取量の計算方法

ポイント2
食物繊維を1日20g以上とる
食物繊維は、小腸でのブドウ糖の吸収を遅らせ、血糖値を低下させます。1日平均18.3gの食物繊維の摂取で、空腹時血糖が平均15.3mg/dL低下したという調査結果が出ています。食物繊維の多い野菜、きのこ類などをとりましょう。
ポイント3
エネルギーはバランスよくとる
私たちがエネルギー源としている栄養素はおもに炭水化物、たんぱく質、脂質の3つ。図のようなバランスでとるのが理想です。
※脂質が25%を超えるときは肉類の脂身、乳製品などに含まれる飽和脂肪酸を減らす

参考 一般社団法人日本糖尿病学会「健康食スタートブック 〜生活の質向上を目指して〜」
極端な糖質制限に注意!
食事で糖質をとると、小腸でブドウ糖に分解されて吸収されます。その後、血糖として全身を巡り、体を動かすエネルギー源になります。糖質を減らせば、血糖値の上昇を抑えることはできますが、糖質をほとんどとらないなどの極端な糖質制限は、免疫力を低下させるなどの健康被害のリスクを高めるのでやめましょう。
血糖値と食事の気になる関係 Q&A
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1日2食のほうがよい?
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血糖値が上がりやすくなります
食事を抜けばエネルギー量を減らせるからと、朝食や昼食を抜くのは逆効果。1食を抜くと、空腹感が強くなって次の食事でドカ食いや早食いになりやすく、血糖値が急上昇しやすくなります。空腹の時間が長いと脳が飢餓状態と判断して糖をより多く吸収するため、太りやすくなる弊害も。規則正しく適量を食べましょう
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仕事で夕食が夜遅くなるのですが…
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夕方に少し食べる「分食」を
仕事などで夜遅い夕食になるときは、夕方に食事の一部を食べる「分食」がおすすめ。分食はトマトジュース+サンドイッチ、おにぎり+野菜ジュースなど、手軽にとれる「野菜+糖質」にし、帰宅後の食事では糖質を控え、「野菜(サラダなど)+主菜(魚や肉など)」をとるとよいでしょう。

こちらの記事では、血糖値対策レシピをご紹介しています!
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